研究ノート
ジオパークを知る!|vol.2 土佐清水の大地を知る!
今回は、「ジオパーク目指すくらいだから、土佐清水の大地ってよくわかんないけど、すごいんだよね?」という声に森口専門員がずばりお答えします。
登場人物紹介
ジオパーク少年
最近、学校でジオパークについて学んでから、ジオパークに興味津々。
ジオパーク専門員 森口
土佐清水ジオパーク構想のジオパーク専門員。専門は生物学だけど、土佐清水の大地のことも、おまかせあれ!
ジオパーク専門員のおねえさんだ!ねえ、土佐清水の大地って何がすごいが?ジオパーク目指すくらいやけん、すごいがでねぇ。
そう、すごいよ!一言ですごさをまとめるのは難しいんだけど、土佐清水には、「生きている惑星、地球」を実感できる場所がたくさんあるよ。特に日本列島ができた頃に大地が激しく動いた地層を観察できるよ!
え!?大地が動いた?日本列島ができた?どういうこと?
そう、地球は生きていて、その表面の大地は動いているよ。地球の時間スケールはとても大きくて、46億年前に誕生してから、少しずつその姿を変えながら、現在まで続いているんだよ。下の図を見て。これは、土佐清水の大地がどうやってできたかを表したものだよ。左から順番に見てみよう。
■3800万年前〜 深い海の記憶
土佐清水の大地は3800万年前に海底でできた地層が土台となっているよ。海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んで、海底の砂や泥などが大陸側に押しつけられたんだ。こうしてできた地層を付加体と呼ぶよ。この頃の日本列島はまだユーラシア大陸の一部だったんだ。
■1700万年前〜 浅い海の記憶
この時代は日本列島が大きな地殻変動で激しく動いて、大陸の端から今の位置まで移動してきたんだよ。三崎地区周辺の地層は、その頃、活発に隆起していた山から運ばれてきた砂や泥が浅い海にたまったものだよ。
さて、ここで問題。
下の写真、どこの地層かわかる?
変わった形の岩やけん、竜串の奇岩かな?
正解!これは竜串海岸散策のハイライトの一つ、「しぼり幕」という奇岩だよ。このぐにゃぐにゃは地震のときに起こった液状化現象によってできた模様なんだよ。竜串海岸にはいたるところにこのようなぐにゃぐにゃした地層がたくさんあって、これらの地層は、当時、活発に大地が動いていた記録なんだ。
1700万年前って大変な時代やったがやね。
そう。その頃の生き物の巣穴や動いていた痕なんかの化石も竜串にはあるんだけど、数も種類も少なくて、大変な環境だったのがわかるよ。
今は穏やかな海やに、全然違うがやね。地層とか化石を見たら、そんなこともわかるがや、すごいね。
そうだよ。地層は大昔のいろんなことを教えてくれるんだよ。
次は、足摺岬のあたりで見られる地層について説明するよ。
■1300万年前 マグマの記憶
1500万年〜1300万年くらい前には、今は火山がない日本列島の太平洋側のあちこちでマグマ活動が活発だったんだ。その頃の岩石が見られるのが足摺岬のあたり。足摺とか松尾の海岸はほかの海岸と岩の色が違うのわかる?
左が足摺岬、右が以布利と窪津の間のあたりにある尻貝の浜の写真だよ。
そういえば、足摺岬のがけは白っぽいね。竜串は黄色っぽくて、他のところの岩は黒っぽいね。
そう。足摺岬は白っぽいよね。足摺半島の先っぽは、マグマが冷えて固まった花崗岩という岩でできているんだ。マグマが地下で冷えて固まったものが、その後の隆起と侵食で地表に顔を出したものなんだよ。
次は、現在でも続く大地の営みについて見てみよう。
■現在 暮らしと大地の営み
土佐清水のおいしい魚に、宗田節、サンゴやウミウシのいる豊かな海、そういうものも大地の営みが深く関係しているよ。大地と黒潮が出会うことで、温暖な気候や豊かな漁場、人や文化が土佐清水にもたらされて、土佐清水らしい風土を作ってきたんだよ。
下の写真は津呂の駄場の写真だよ。
地震による土地の隆起や、地球活動のサイクルの中で海面の高さが変動することによってできた海沿いの小高く、平らな土地を海成段丘というよ。そんな小高く平らな土地のことを土佐清水では「駄場」と呼んでいて、貴重な農耕や生活の場として活用されてきたよ。
地層や岩だけでなく、今の私たちの暮らしと大地のつながりを知って、「生きている惑星、地球」を感じてほしいな。
へえ、生きている惑星やけん、大地は絶え間なく活動を続けようがか。でも、地震とか怖いなぁ。
そうだね。生きている惑星だから、地震や津波、火山の噴火なども起こるよ。地球の活動によってもたらされる自然災害もあるけど、それらの活動によって私たちの住む大地ができているからね。
地球のことを知ることで、災害のリスクを減らすこともできるから、ただ怖がるだけでなくて、大地と上手に付き合っていくことが大事だよね。
そうやね。自分が住みよう土地のことはように知っちょった方がえいね。
そう、住んでいる土地のことを知るのはとても大事だよ。
土佐清水の大地は、時代の区分で下のように分けられるよ。
3800万年前に深い海でできた土台があって、三崎や竜串では、浅い海にたまった地層が、足摺岬の方では、マグマでできた花崗岩の大地が見られるよ。
そして、大地の変化は現在でも続いていて、地殻変動や風化侵食などで、大地は絶えず姿を変えているんだよ。
なんか、お話ききよったら、土佐清水のこととか、地球のことを前より好きになった気がする。
いいね。地域や地球のことを知って大切にして、より良い未来を作っていこうというのがジオパークの考え方だよ。
これからもよろしくね!
▼前の記事
ジオパークを知る!vol.1 そもそもジオパークってなんだ?
▼次の記事
ジオパークを知る!vol.3 ジオパークってどうやってなるが?
広報とさしみず2021年5月号 ジオパークだよりvol.83を再編集
この記事についてのお問い合わせ
土佐清水ジオパーク推進協議会
TEL:0880-87-9590
MAIL:tosashimizu@city.tosashimizu.lg.jp