大地と黒潮の物語りに出会う
地球の「記憶」を教えてくれる大地の遺産、目を奪われるような雄大な景観と豊かな生態、そして、自然とともにある私たちの暮らし...
土佐清水は、大地と黒潮が出会うことで、このまちならではの景観を作り出してきました。大地と黒潮が織り成す物語に出会えるサイトを厳選して紹介します。
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1.五味天満宮
五味天満宮には、幕末の南海トラフ地震である安政地震に関する石碑と、大正期に土佐清水一帯が大きな被害を受けた水害に関する石碑が残っています。下ノ加江川沿いの低地は農業に適している一方で、たびたび洪水や津波に襲われてきました。それでも人々は力を合わせてそれを乗り越え、恵みと脅威の両方をもたらすこの地で生きるとともに、その経験を石碑に刻んで語り継いできました。土佐清水市内の他の集落にも過去の自然災害を伝える石碑が数多く現存しています。
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2.大岐の浜
長さ1.5kmに及ぶ広い砂浜が美しい大岐の浜。砂の下にはナミノコガイやスナモグリをはじめとする多種多様な生物が生息しています。アカウミガメの産卵地としても重要な、砂浜生物のパラダイスです。ここの浜林は全国でも珍しい照葉樹林の海岸林。カカツガユなど希少植物も自生しています。砂浜でビーチコーミングや生き物観察を楽しむもよし、浜林を散策するもよしのおすすめスポットです。
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3.津呂の駄場(海成段丘)
平地の少ない土佐清水では、小高い場所に開けた平坦面である「駄場」が昔から大切な農耕地です。なかでも最も駄場らしい景観が残されているのが津呂地区と、その隣の大谷地区です。津呂地区では、強い潮風対策のためにツバキなどで生垣が築かれ、大谷地区では、江戸時代から苦心して開墾された水田が広がっています。「駄場」の多くは、かつては波が削ってできた、浅い海の底でした。海岸に沿って続く階段状の地形を海成段丘といいます。大地の隆起と海水準の変化が繰り返されてできました。
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4.足摺岬
目の前に広がる太平洋に白い断崖と灯台が映える、土佐清水を象徴する絶景。遊歩道は漁師文化と深いつながりを持つツバキ林をはじめとする様々な植物に彩られ、断崖の真下ではウミガメが顔を出すこともあります。白い断崖をつくっているのは、マグマが地下深くで冷え固まった花崗岩。その模様や成分が、大陸に分布する十数億年以上前の花崗岩に似ていることから、大陸の成り立ちを知る鍵となると考えられています。
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5.松尾
足摺岬の西岸、花崗岩が波に削られてできた断崖の上に位置する集落・松尾。身を寄せ合うように並ぶ家々の間の路地を歩くと、海辺の人々の暮らしが感じられます。近世に紀州印南から鰹漁や鰹節の製法が伝わり、漁業や廻船業で栄えました。明治期に地元の有力廻船商人によって建てられた「吉福家住宅」の贅沢な造りに当時の繁栄がしのばれます。亜熱帯性の樹木で「市の木」でもあるアコウの大樹も見どころのひとつです。
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6.唐人駄場
かつて縄文人たちが暮らし、現在は緑豊かな園地となっている「唐人駄場」と、山中に多数の巨石が転がる「唐人石」からなるサイト。唐人石の巨石は、マグマが地下の深い場所で冷え固まった花崗岩です。地殻変動によって地表に出てきた花崗岩には亀裂が入っており、そこに雨や地下水が入り込むと、花崗岩はボロボロになって崩れていきます。唐人石の巨石は、亀裂から離れていたためボロボロにならずに残ったものだと考えられます。
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7.臼碆
赤茶けた花崗岩がつくるダイナミックな景色が広がる臼碆。すぐ沖に見える碆(海から顔を出した岩礁)の周囲で、潮が渦を巻く様子が臼に似ていることから名付けられたとされています。今から350年程前、この臼碆のすぐ沖でカツオの漁場が発見された時、宗田節として現在に受継がれる節文化が始まりました。太平洋を望む岩場に鎮座する竜宮神社では、かつて漁師の妻たちが集って夫の無事と豊漁を願う宴が催されていました。
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8.唐船島
足摺半島の付け根にある清水港は、大地の隆起が周囲よりも緩やかで、土砂を運んでくる川もないため、水深が深くて奥行きのある良港となっています。唐船島は、そんな清水港の一番奥にある小さな島です。唐船とは外国船のことで、古くから外国船が出入りしていたことがその名の由来です。昭和南海地震時に80 cm隆起したことが明らかとなった場所として、国の天然記念物に指定されているほか、サギの仲間の営巣地を間近に見られるスポットでもあります。
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9.鹿島
清水の港にぽっかり浮かぶ鹿島には、清水の漁師から信仰をあつめる「鹿島神社」があります。薪や炭として周囲の森が積極的に利用され、伐採されてきた中で、鹿島の森は神域として大切に守られてきました。かつては離島だったこともあり、埋め立てによって陸続きとなった現在でも、土佐清水本来の森の面影をとどめています。植物観察をしながら清水人が愛する豊漁祈願の森を歩いてみませんか。
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10.ジョン万
土佐清水で生まれたジョン万次郎は、幕末の日本において通訳として活躍し、西洋の知識を広めた人物です。彼はカツオ漁に出たところを大蛇行していた黒潮に流されて伊豆諸島の火山島・鳥島に漂着、143日の無人島生活の末に米国の捕鯨船に救出されて渡米しました。アメリカでは船乗りとして活躍した後、ゴールドラッシュで資金を得て日本への帰国を果たしました。土佐清水を飛び出し、国際人として活躍した彼の生涯もまた、大地と黒潮とともにあったのです。 ジョン万次郎のことをもっと知りたい方は、ジョン万次郎資料館と中浜の万次郎生家へどうぞ。
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11.竜串湾とグラスボート
ボロボロになりやすい1700万年前の地層は、潮風や波に洗われて複雑な海岸地形をもつ竜串湾を作り出しました。黒潮の影響で年間を通して海水温が暖かいことから、湾の底に点在する岩礁には多種多様なサンゴが暮らし、またウミウシをはじめとする様々な生物が生息しています。海中の様子は、千尋岬の見残し海岸に渡るグラスボートで楽しむことができます。シコロサンゴの周りを泳ぐ魚の群れは一見の価値ありです。
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12.竜串海岸
300年以上前から愛されてきた景勝地です。数々の奇勝奇岩は、約1700万年前に浅い海でできた地層が潮風や波に洗われることでできました。地震によってできたとされるグニャグニャになった地層が数多く見ることができます。現在よりもずっと大地の変動が激しい時代に、思いを馳せてみるのもいいでしょう。土砂が大量に流れ込む、厳しい環境下で生き物たちが暮らした痕跡(生痕化石)も見所です。
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13.爪白海岸+海底館
爪白海岸は川の河口や干潟の地層でできています。竜串海岸の地層ができた浅い海が時代とともに埋め立てられて、環境が変化したからです。そのため爪白海岸では、竜串海岸とはまた違った自然の造形や化石を見ることができます。遊歩道を少し歩いた先にある足摺海底館は竜串湾沿岸域のランドマークとして親しまれてきました。水深7 mの海中の様子を魚と同じ目線で楽しむことができます。運次第では大物や珍しい生物に出会えることも。
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14.叶崎
土佐清水市の西端に位置する叶崎を形作るのは、深い海の底でプレートの沈み込みによってできた付加体の地層です。周辺の崖では白っぽい砂岩と黒っぽい泥岩が交互に積み重なってできた縞模様が良く観察できます。また、断崖が連なる複雑な海岸線や青い海を背景に白亜の叶崎灯台がそびえる様は、古くから人々に愛されてきました。付近の崖には岩場を好む多肉植物のツメレンゲが群生し、晩秋から初冬にかけて可憐な花を咲かせます。
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