土佐清水を自由研究する地域研究紙≪アオサバラボ≫

土佐清水を自由研究する地域研究紙≪アオサバラボ≫

土佐清水を自由研究する地域研究紙≪アオサバラボ≫

土佐清水を自由研究する地域研究紙≪アオサバラボ≫

土佐清水を自由研究する地域研究紙≪アオサバラボ≫

研究ノート

災害の記憶を未来へ

皆さんは地域や道路脇で見かける石碑をじっくり見たことがあるでしょうか。供養塔であったり、耕地整理や開墾記念といった地域の重要な土木工事に関わるものであったり、地域の偉人を顕彰するものであったり、石碑の内容は様々です。

そのなかに、過去に地域で起きた自然災害について伝える石碑もあります。土佐清水市は過去に何度も大きな災害に見舞われてきました。たとえば、今後30年間に80%以上の確率で再び起きると言われている南海トラフ地震は、過去に起きた際にも津波などによって人々に大きな被害をもたらしました。江戸時代後期の南海トラフ地震である安政地震に関する石碑は市内の各地に残されており、被害の様子や後世への教訓が詳しく記されています。また、風水害も多く、台風などで大雨が降ると河川が氾濫し、流域の集落で多くの被害が出ました。なかでも大正九年の水害は被害が甚大で、下ノ加江川、宗呂川、三崎川といった土佐清水の主要河川の側には、被災の様子とそこからの復興に至る道のりが記された石碑が残されています。

▼ 安政地震について記した石碑。災害発生年月日、被災時の様子、後世への教訓などが記されています。(五味天満宮地震碑)

(1)_五味天満宮地震碑_近景 (2).JPG

▼ 大正九年の水害についての石碑。発災時の様子や被害状況、復興への歩みなどが刻まれています。(下ノ加江水害記念碑)

11下ノ加江水害記念碑_IMG_0384.jpg

石碑は先人からのメッセージ

このように、自然災害に関する石碑やモニュメントは、災害を経験した地域の先人たちから現在この地で暮らす私たちに当てたメッセージです。そのメッセージを忘れられないように掘り起こし、守り、未来へ伝えていくとともに、いつかくる災害に備えて私たちの生活の中に活かしていくことが大切です。ところが、歴史資料としても防災の教訓としても重要なこれらの石碑は、最近まで十分に周知・活用されているとは言えない状況にありました。

平成30年の西日本豪雨災害の後、大きな被害を受けた地域の中に100年以上前の水害について記した石碑があったことが注目されました。それをきっかけとして、全国的に自然災害を記録した石碑の価値を見直し、その教訓を地域防災へ活かしていこうという機運が高まってきています。国土地理院は新たな地図記号「自然災害伝承碑」を制定し、地域にのこる自然災害を記録した碑の情報を「自然災害伝承碑」として地形図等に掲載することで、過去の自然災害の教訓を伝え、教訓を踏まえた防災行動を促していくことを目指しています。(参考:国土地理院ホームページ 自然災害伝承碑

2019年度 土佐清水市域自然災害碑調査

土佐清水ジオパーク推進協議会でも昨年度、土佐清水市生涯学習課市史編さん室、危機管理課、土佐清水郷土史同好会、土佐清水自然史研究会と連携して、土佐清水ジオパークエリア(土佐清水市域)に残る自然災害を記録した碑の調査を行いました。その成果は2020年2月の土佐清水市中央公民館サークル文化展で土佐清水郷土史同好会によってパネル展示されました。また、石碑の内容を小冊子「郷土の先人たちからのメッセージ」にまとめています。この冊子は土佐清水市民図書館や竜串ビジターセンター「うみのわ」などで閲覧できますのでぜひご覧ください。

自然災害碑を活用した防災学習の取り組み

石碑の教訓を未来に伝えるため、今年度には下川口小学校や三崎小学校で石碑を使った地域学習を行いました。また、11月にはJAMSTEC高知コア研究所主催で3Dモデルを使った自然災害碑についてのワークショップを行いました。

▼ 開催レポート

▼ 石碑を活用した地域学習の様子。石碑の碑文を読み取って過去の災害や地域の大地の特徴について学び、これから起きる災害にどう備えるか考えました。(三崎小学校地域学習)三崎石碑学習20191113.JPG

保全の取り組み

2019年度調査の成果を踏まえ、2020年11月には、特に歴史的価値の高い大正時代以前の石碑10基が「近世近代自然災害碑群」として市指定有形文化財に登録されました。これは石碑を保全し、その価値を未来へ伝えていくための大きな一歩です。しかし、文化財登録だけでは十分ではありません。

土佐清水市では次の南海トラフ地震で最大20 mを超える高さの津波が来ることが想定されています。この規模の津波が来た場合、市内の自然災害碑の多くが流失する恐れがあります。自然災害碑は「どこに建っているか」という位置も重要な情報であるため、移動させることは難しく、これらの石碑の保全が重要な課題となっています。また、市内の三崎地区で採れる砂岩「三崎石」を使用した石碑は風化しやすく、石碑の文字が磨耗して読めなくなってきているなど、土佐清水特有の課題もあります。3Dモデルによる詳細な石碑情報の保存など、デジタル技術を活用した新たな保全の方法が模索されています。

土佐清水の自然災害碑 一覧

地震・津波
  • 宝永地震 (1707年)
    1. 下川口春日神社地震碑
    2. 清水中浜峠池家墓碑
  • 安政地震 (1854年)
    1. 五味天満宮地震碑
    2. 清水中浜恵比寿神社地震碑
    3. 三崎浦震災供養石仏
    4. 三崎十字橋碑
  • 昭和の南海地震 (1961年)
    1. 平ノ段震災記念碑
水害
  • 大正九年の水害 (1920年)
    1. 五味天満宮天災記念碑
    2. 下ノ加江洪水記念碑
    3. 下ノ加江復旧記念碑
    4. 下ノ加江水害記念碑
    5. 三崎川堤防復旧記念碑
    6. 下川口郷災害記念碑
  • 平成13年高知西南豪雨災害 (2001年)
    1. 下川口災害一周年記念碑
    2. 下川口西南部豪雨災害七周年記念碑
    3. 旧下川口橋親柱
    4. 下川口沢抜けの流木
    5. 貝ノ川西南部豪雨水害記念碑
高波
  • 平成16年台風 (2004年)
    1. 伊佐漁港高波災害標識

▼ 石碑の位置情報