研究ノート
現役ジオガイドさんインタビュー vol. 1 | 異なる暮らしが交わる体験を提供する 村松真佐美さん
プロフィール
村松 真佐美(むらまつ まさみ)さん
東京都小平市出身 ジオガイド歴5年
「たびさび(ta vie × sa vie)」 を主宰
「暮らすように旅をする」をコンセプトに外国人旅行者向けのガイドツアーを実施
また、通訳業や、地元の食材を活かした食品加工業も営む。
−聞き手 森口 夏季(土佐清水ジオパーク推進協議会)
インタビュー
ta vie × sa vie とは
−ご自身の主宰されている「たびさび」について教えてください。
村松 「たびさび(ta vie × sa vie)」の屋号はフランス語が由来なんです。
それぞれ日本語にすると
ta = あなたの(your)
vie = 人生、暮らし(life)
sa = 彼の/彼女の(his /her)
という意味ですね。
−訳すとすると「あなたの人生(暮らし)、だれかの人生(暮らし)」という感じでしょうか。
そうですね。
私のガイドツアーは外国人旅行者がメインターゲットなのですが、日本の暮らしや文化を体験できるようなツアーを目指しています。
自分の住んでいる町とは遠く離れたところで、知らなかった暮らしがそこにある。知らない暮らしに触れる。でも、自分の暮らしと、知らない暮らしと、同じ時間が流れている。異なる人生・暮らし同士が交わる。
「たびさび(ta vie × sa vie)」という屋号には、そんな思いを込めています。
お客さん側の体験としてだけでなく、観光客を迎え入れる地元の方にとっても“異”日常体験になったらいいと思っています。
土佐清水への移住
土佐清水に来て7年になります。
私は東京暮らしが長かったんですけど、あるとき「東京を脱出したい!」と思って、まずはリゾートバイトを探したんです。海の近くで働きたくて。そしたら、数ある求人の中で、足摺岬の求人だけ、Google mapで調べても交通手段が見つからなかったんです(※1)。それで興味が湧いて。一体どんなところなんだろうって。
※1 現在はバスなどの交通手段が表示されるようになっています。
−あまりにも情報がなくて逆に興味が湧いたんですね。
そうですね。それだけ隔絶した場所なんだって。
それで、足摺国際ホテルで、住み込みで3ヶ月働きました。その時はよく集落の中を散歩したり、伊佐漁港に泳ぎに行ったりしてました。それでとても気に入って、最初は3ヶ月だったのが、半年になって、最終的には移住してしまいました。
生業(なりわい)というものを持って、自分時間で生活がしたかったんです。だから、移住する時は最初から、独立してガイド業をすることを目標にしていました。最初は地域おこし協力隊として移住して、今は「たびさび(ta vie × sa vie)」を主宰してガイドや通訳を行っています。あと、食品加工ですね。地の魚、特にヒダリマキとかのような磯魚を使って魚味噌を作ったりしています。
▲伊佐漁港にて。国際ホテルに勤めていた時によく泳ぎに来ていたそう。「ここが私にとっての”始まりの場所”なんです」と村松さん。
−土佐清水での暮らしはいかがですか
まず景色がとても良い!海が綺麗ですね。海が好きなので仕事終わりにもよく泳ぎに行ってました。
人の温かさも感じます。外出から帰ってくると、洗濯物を取り込んでいてくれていたり。玄関にとれたての野菜が置いてあったり。
だけど、ほどよい距離感をたもってくれているんですよね。少し遠くから気にかけてくれていて、困ったら手を差し伸べてくれる。居心地が良いです。
私にとっての「ジオ」
実はあまり「ジオガイド」という枠にはこだわっていないんです。
ガイドって、自分の生活・体験全部が糧になるものなんです。「ジオ」は、ガイドをしていく、地域を伝えていく上での切り口のひとつという感じかな。
ただ、土佐清水のまちって、古い町並みがそのまま残っていて、それってやっぱり土地や地形の影響を受けて長い時間かけて作り上げられてきたものなんですよね。「ジオ」という目線で地域を見つめ直すことで、見えること、分かることがたくさんあると思っています。
ガイド活動
主にインバウンドの外国人観光客を対象としたガイドツアーを行なっています。
四国に来る外国人観光客は、長期間じっくり滞在して「より深く四国を知りたい」と考えている人が多い印象です。そういう方達を対象に、足摺で2泊してもらうことを目標に、ツアー時間を長時間に設定しています。ツアーのコンセプトとしては、「たびさび」の由来でもお話したことですが、日本の暮らしを伝えて、異なる暮らしと暮らしが交流するような体験が提供できればと思っています。
−目指すガイド像ってありますか?
外国でツアーの通訳として働いていた時に、現地のガイドさんに言われた言葉が心に残っています。「自分のおじいちゃん、おばあちゃんを案内するように接するといいんだよ」って。私は「『親しみ』と『尊敬』を持って接しなさい」ということだと解釈しています。
−これからジオガイドをやってみたいなっていう人になにかアドバイスをいただけますか?
ジオの目線を通すことで、土地のこと、清水の魅力をもっと知ることができます。お話好きの人、好奇心が旺盛で知識欲がある人、旅好きの人はきっとガイド向きだと思います!
―足摺の穏やかな景色の中でお話を伺っていると、このゆったりとした時間の流れそのものが土佐清水の宝なのだと感じます。この土佐清水の時間と暮らしを体験できるガイドツアー、多くの人に楽しんでいただきたいですね。村松さん、ありがとうございました!
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