【解説 ページ】
深い海の記憶 3800万年前〜
-日本の土台がつくられる最前線!-
土佐清水で最も古い地層 は、およそ3800万年前から1700万年前にできた付加体 とよばれる地層 の集まりです。付加体 は、土佐清水を含めた日本列島全体の土台をつくっています。
付加体 がつくる「土佐清水らしさ」
深海底から盛 り上がって陸となった、土佐清水の土台
付加体 は、何千メートルもの深い海でつくられる、日本列島の土台となる地層 の集まりです。それが海の中で少しずつ盛 り上がってきて、やっと土佐清水にて海の上に出てきました。
付加体 は、土佐清水の自然や人びとのくらしを土台として支 えています。


付加体 がつくるおもしろい石
付加体 の中では、地層 が割 れてずれていたり、グニャーと曲がっていたりしています。このようにしてできた、変わった形の岩が叶崎 や布崎 の海岸をつくっています。


付加体 とは?
付加体 ができる場所
日本の周りの海底の地形を見てみましょう。静岡県から宮崎県の沖には、最大で深さ4,000 mにもなる大きな谷があります。この谷を南海 トラフとよんでいます。
南海 トラフは、フィリピン海 プレート※1とよばれる海底をつくる固い板が、ユーラシアプレートの下へ沈 み込 む場所です。
南海 トラフの北側の海底にシワがよっている場所が、現在 付加体 がつくられている場所です。このように、付加体 は海洋プレートが他のプレートの下へ沈 み込 む場所でできます。
※1 地球の表面をおおう固い板「プレート」について調べてみよう。

付加体 のでき方
海の底には、生き物の死がい、砂、どろなど様々なものがたい積しています(①)。
これらが積み重なって海洋プレートの上に地層 ができます(②)。
海洋プレートが他のプレートの下に沈 み込 もうとする時(③)、海洋プレートの上の地層 は引っかかって沈 み込 まれる側のプレートにくっついてしまいます(④)。このように、海洋プレートが沈 み込 む時に他のプレートとの境界 に引っかかって、他のプレートにくっついてしまった地層 の集まりが付加体です。




付加体 についてもっとくわしく
付加体 は日本列島の土台をつくる
中国大陸※2の東の端 では、およそ3億年前から付加体 がつくられ続けていました(①)。
およそ2500万年前ごろから1500万年前にかけて、中国大陸の東の端 が裂 けて大陸の一部が現在 の日本列島の位置に動いてきました(②)。これが日本列島の原型 です。
この時に動いてきた日本列島の土台の大部分は、中国大陸の東の端 でつくられた付加体 でできています。
※2ユーラシア大陸は、約2億年前に超大陸パンゲアが分裂してからおよそ1500万年前までに、(南・北)中国、シベリア、インドなどの小さな大陸が集まってできました。


日本でいちばん新しい土佐清水の付加体
日本では、日本海側ほど古く太平洋側ほど新しい付加体 が分布 しています。太平洋に突 き出た土佐清水の付加体 は、陸上でみられる日本でいちばん新しい付加体 の一つといえます。
高知県でみられる四万十付加体 は、変形が少ない新しい付加体 であり、現在 も南海 トラフぞいの海底ででつくられている付加体 と比 べやすいことから、世界中の専門家 が研究しています。

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参考文献
- 磯崎 行雄, 丸山 茂徳, 青木 一勝, 中間 隆晃, 宮下 敦, 大藤 茂 (2010) 日本列島の地体構造区分再訪--太平洋型 (都城型) 造山帯構成単元および境界の分類・定義--, 地質学雑誌, 119, 999-1053.